柿の葉寿司

 早朝に降った雨は止んだが、どんよりとした曇り空であった。天気が大きく崩れることはなかったが、時々、少し雨がパラついたので外出は控えることにした。

 昼食は柿の葉寿司であった。柔らかく生長した柿の若葉で塩鮭と寿司飯をくるみ、押し寿司の枠に入れて重しを載せ、一昼夜おいたものである。柿の艷やかな緑の葉と鮭の赤味を帯びた切り身の対照が何とも美しい。一口頬張るとまるで新緑そのものを味わっているかのようであった。

 寿司や団子を木の葉で包むのは昔の人の知恵である。ホウノキ、カシワ、サルトリイバラなど種々あるが、食物の殺菌効果も兼ねているらしい。

 散策こそ出来なかったが、季節を眼と胃の腑で味わうことができた一日で
あった。


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